• TOP > 旬の魚
    熱を加えると赤くなるその姿はいかにも可憐でお膳に華を添える存在。江戸時代よりエビの代名詞といえばクルマエビだった。煮ると背が丸まり車輪を思わせる形になることから「クルマエビ」の名がついた(『和漢三才図会』より)とか。
    天然ものは初夏が旬ともいうが、甘み成分のグリシンの量が最大となる秋から冬がおいしく入荷も増える。また、エビの赤い色素、アスタキサンチンは抗酸化物質として近年注目されている成分。
    たっぷりと脂を蓄える厳冬期のヒラメは「寒ビラメ」と賞され、食通垂涎、憧れの魚。
    浦島太郎では「タイやヒラメの舞い踊り」と描かれた、古来タイと双璧をなす魚だったのでしょう。現在、天然ものは希少ですが、質の高い養殖ものがさまざま開発されています。また、ヒラメといえば「えんがわ」。身も高価なヒラメですが、「夏座敷とひらめは縁側がいい」という言葉もあり、身以上にえんがわは値が張り珍重されるむきも。
    雛祭りにいただくハマグリの潮汁は、女の子の健やかなる成長を願うもの。
    ハマグリは二枚貝で対の殻でないとぴったりと合わないことから、女子の貞操や夫婦和合の象徴とされ、古く結婚の祝い膳で振舞われてきました。これを発案したのは八代将軍・徳川吉宗といわれています。ハマグリの旨みは殻の中の液体に多く含まれ、これを存分に堪能できる汁もの、焼きものが王道の味わい方。
    英語で12ヵ月のうち、アルファベットの“R”のつく月以外は食べるな、といわれるカキ類だが、イワガキは別。夏ガキともいわれ夏が旬。主産地は日本海側。特に鳥海山のミネラル豊富な伏流水で育った秋田の象潟(きさかた)は名産地として知られている。象潟のイワガキ漁では1人1日150個までの漁獲制限があり、5年物の大きく育ったものが対象となる。大型のカキのぷっくりとした身にレモンを絞り生でいただくと、磯のジュースともいえるカキの旨みが口いっぱいに広がる。