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    全国津々浦々、お国自慢の魚介を紹介します!


    天然物は希少で「幻の魚」といわれる松皮ガレイ。有眼側の表面にあるウロコがザラザラして堅く、松の木の幹を想わせることからその名が付いた。また、尾ビレと背ビレにある黒い帯の模様が鷹の羽の模様に似ていることから「タカノハ」とも呼ばれる。
    透明感のある艶やかな白身を持ち、甘みを引き出す潮汁や塩焼きが美味。北海道えりも町から函館市南茅部までの太平洋海域で獲られ、このエリアで水揚げされる「王鰈(おうちょう)」ブランドが有名。


    ‘嫁に食わすな’の秋サバは北海道から八戸沖、三陸沖、常磐沖、銚子沖と北太平洋海域を回遊するサバをいう。八戸前沖さばは年によって異なるが8月から12月に八戸から三陸沖合でまき網で漁獲され、定められた重量や脂質などをクリアしたもののみが、その名を許される。なかでも、特に大型(550g以上)のサバを「銀鯖」と称し珍重している。 ちなみに秋サバのあとは寒サバが市場に出回るが、こちらは東シナ海の最北端、済州島沖漁場で獲れる九州産。


    広島県三原市の沖合で、代々受け継がれているタコつぼ漁により漁獲される“三原のタコ”。三原沖は水温が安定しており、きれいな水と砂に恵まれ、適度な岩場があり、タコが育つのに最適な自然環境を擁している。三原のタコは歯ごたえがありながらやわらかい、という絶妙な食感が自慢で、これを活かせる薄造りやタコしゃぶがおすすめ。
    三原はタコの町で、8月8日「タコの日」にタコ供養を行う。祭壇にはタコの好物といわれるサツマイモを供えるという。


    日本近海に広く分布しているホタルイカだが、富山県が圧倒的な漁獲量を誇る。3~6月の産卵期に富山湾の水深1200mもある藍甕(あいがめ)と呼ばれる海底谷に大群をなしやって来る。群れのほとんどは卵を持ったメスで、オスは数千尾にわずか1尾程度という。
    ホタルイカは、昼は藍甕の水深200~600m付近にいて、夕方から夜中にかけ海面に浮上し産卵する。ホタルイカが群れで押し寄せる富山湾は「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されている。網を揚げるときに青白く光る幻想的な眺めは観光客にも人気。
    味の魅力は生でも茹ででも濃厚なハラワタの旨みだが、地元ならではの料理に、歯ごたえと甘味が魅力の「竜宮そうめん」というホタルイカの脚だけの刺身がある。

    瀬戸内海はマダイの宝庫だ。明石鯛の獲れる海域と淡路島をはさんだ対岸で、そのライバルといわれる鳴門鯛が獲れる。 「疾風追えども及ばず」「鳴門の渦潮」と表される程、流れの速い鳴門海峡の荒波にもまれ育ったため、味の良さが際立っている。鳴門の漁師によると、鳴門鯛は速い潮の中で生き抜くため、疲労骨折するまで尾ビレをよく動かすものもいるという。尾に近い中骨にはよく動いたことでできたコブを持つ鳴門鯛もおり、これが極上のおいしさを示す証になっている。 鳴門鯛は通年水揚げされるが、桜の時期には「鳴門桜鯛」と呼び、鯛を味わうとともに季節も味わう。


    春の到来を感じさせる静岡県由比町の桜えび漁の解禁は、今年は3月23日。
    国内で獲れる桜えびのほとんどが駿河湾産で、静岡の県魚にも制定されている。
    夜行性のエビで、昼は水深約150~300m付近にいるが、夜に餌を求め水深20~30m付近に浮上してくる。桜えび漁は資源保護のため産卵期や稚エビの成長期を避け、春は3月末から6月上旬、秋は10月末から12月末と、年2回行われる。また、桜えびは年によって漁獲高の差が激しく、高値が付くようになり乱獲が進んだため、厳しい漁獲制限を設けている。漁獲が許されるのは、蒲原、由比、大井川漁協所属の漁船のみ。

    桜えびの発見に伝わる話がある。1894年、由比町の漁師二人が夜間のアジ漁に出た時のこと、漁場で網に浮き樽を結ぶのを忘れたことが桜えびの発見につながったという。すでにアジの漁獲は望めず、漁師たちは意気消沈、仕方なく、網を引き揚げたところ、大量の桜えびがかかっていたという。真相は、浮き樽は忘れたのではなく、曳いているうちに途中で外れたようだが。
    旨みが凝縮されほくほくした釜揚げは絶品。また、大漁で港に戻った漁師が好んで食べたという桜えびのすき焼き「沖上がり」も贅沢な食べ方だ。

    由比 桜えびまつりは、毎年5月3日(祝)。桜えびの釜揚げやかき揚げはもちろん、桜えびの味噌汁も愉しめる!
    この機会に是非! 詳しくはJF由比港漁港HPで

    http://www.yuikou.jp/enjoy.html#pageLink01


    本土と四国を結ぶ瀬戸大橋より東側の、岡山と香川が最接近する海域、備讃瀬戸は殻が30cmほどにもなるタイラギの一大産地だ。タイラギは三角形の大型の二枚貝で、国内では限られた場所にしか棲息せず有明海のタイラギが激減し、いまや備前瀬戸が全国有数の漁場となった。

    このあたりで貝柱といえば、ホタテではなくタイラギのことをいい、少しあめ色がかった乳白色をした大粒の貝柱はぷりぷりした歯ごたえと上品な甘みがある。12月から4月中旬に潜水服を着た漁師が手カギなどを使ってひとつ一つ採る昔ながらの漁法が行われ、水温が下がる1月頃から身が締まって旬を迎える。

    岡山県の下津井では鮮度のよいものは刺身で、軽く火を通して甘みと旨みが増す塩焼き、バター焼きが愉しめる。