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    -「ととけん」を受験するきっかけは?
    本屋さんで「うまい魚がもっと旨くなる本」( 日本さかな検定公式ガイドブック 2011年版プレジデント社)を立ち読みして、イラストも文章もとても素敵でむくむくと好奇心が刺激されたことがきっかけです。
    魚好きの主婦の遊び心が受験動機なので、第2回の開催で3級を受けてから1年1年楽しみながら受けていました。

    -魚に対する好奇心の原点は?
    東京で生まれ神奈川県で育ちました。小さいころから海が間近にあり、気が付いたら自然に泳いでいたように思います。子供の頃の磯遊びの延長で、社会人になってからはダイビングや釣りを通じて、海や魚に親しんできました。
    サラリーマンの主婦として、結婚してから夫の転勤に伴って各地で生活しました。現在は、ジャワ更紗(ろうけつ染)を中心に染色家として作品を発表するほか、教室も開いています。ある時、生徒さんから「先生はお魚が好きなんですね。」と言われて、はじめて魚や海を題材にしていることが多いことに気づきました。

    ※その時の作品がこれ

    -魚と料理にまつわる思い出、エピソードを
    主婦として、もともと魚を料理しておいしく頂くことが好きでしたが、夫とともに香港に赴任した時のことが鮮烈な印象として残っています。香港の海鮮市場で魚介を選んで、調理してもらうのですが、地元の人たちとお店の人とのシビアなやりとりにびっくり。
    時期、鮮度、値段、調理方法など、確かな知識と経験を持って買う側と売る側がコミュニケーションすることが、おいしいものを食べるためには欠かせないことに気づかされました。日本に帰ってからも、漁師さんや地元の方々から直にお話を聞くことが、美味しいものを作り、食べるためにはとても大事なことだと感じています。

    -好きな魚介は?
    好きな魚介の一番は牡蠣。
    できることなら世界中の牡蠣を食べ比べてみたい。また牡蠣に限らず、できるだけ旬の食材や季節感のある料理を大事にしたいと考えています。例えば関西に来てからは毎春食べる「いかなごの釘煮」でも、より良い材料を求めてこだわって楽しんでいます。

    -3級から1級まで受験されて…
    3級は、基本的な主婦の知識+αで楽しめました。
    2級は、さすがにちょっとひねりが効いていましたが、それでも自分の知識の範囲内であったと思います。海の近くで育ったことと、これまでいろんな地方で生活したことが、役に立ったかなと思います。
    今回受験した1級は、とても面白かった。
    地方色豊かな料理法や漁法、文学に纏わる文化的要素から社会問題まで幅広く取り上げられていて、とても満足感がありました。
    また1級ともなると問題を作成するスタッフの皆さんのご苦労もひとしお大変だろうと感じました。

    -今回1級を受けるにあたってどのように勉強を?
    いろいろなテキストやこれまでの知識から、「食べたいものリスト」を作成して、想像を膨らませながら楽しんで勉強しました。ちなみに「食べたいものリスト」の第一位は、「松山鮓」。夏目漱石や正岡子規の逸話も関心をそそるし、地方色が豊かなうえに祝いごとに出される料理なので、どこでもいつでも食べれる料理でないところもイメージが膨らむんです。

    -1級で印象に残った問題は?
    印象に残っている問題は、Q81のフグの問題です。実はこの問題、分からなかった問題なんですが、主婦としてはやっぱり自分でさばかないと興味がわかないのかなぁ、とか、選択肢の②にあった東京で身欠きフグが調理師免許がなくても扱えるようになったことが正しいことを知ると、関西に来て随分経つんだなぁと、感慨深くなったり。
    あと京都の居酒屋のメニューの問題(Q67)は、知識の組み合わせを考えるのが楽しかった問題です。

    -「ととけん」を受験、合格されて周囲やご自身に変化は?
    1級に合格したことは夫にしか言ってませんが、夫は関心がないみたい。
    自分自身の変化としては、食べてみたい料理がさらに広がったと思います。もともと好奇心は旺盛でテレビで紹介されたり、本で読むと実際に試したくなるほうですが、「ととけん」を通じて魚について知れば知るほど奥深く、興味が広がります。

    -今後の受検者へのメッセージをお願いします
    もっともっと、主婦に挑戦してもらいたいと思います。
    実は主婦の実践的な知識はすごいんです。
    主婦の実力をぜひ見せてもらいたいし、見てもらいたいと思います。

    -取材を終えて・・・
    とても前向きで活き活きとした家永さん。
    魚と料理が大好きで、ご主人と釣りをしていても釣った魚を食べることばかり考えているという。例えば小鯵をサビキで100匹とったとすると、タタキ、酢じめ、から揚げ、さらにはミンチにしてさつま揚げにと全部余さず料理と食を楽しんでいらっしゃる。
    また漁師や鮮魚店などプロとの会話をとても大事にされていて、現在の漁業や魚食の課題についても、「ブランド化されるとかえって産地で食べれなくなってしまう」、「野菜も魚も作る人、採る人が大事」など、ごく自然に肌感覚でお話をされていた。
    好奇心とそこから膨らむ豊かな想像力や行動力と、それらを下地にした濃いコミュニケーションが1級最高点に繋がっていると感じた。
    「これからも注目し、応援しています。」とエールを送っていただきました。