■■■昨年に続き親子三代のととけん奮闘記、見事全員合格の秘訣とは?■■■ 今回はついにお父様の貴司さん(41歳)が最高峰の1級に合格。 息子さんの尚悟君(11歳)は大人でも難関の2級受検に2度目のチャレンジで、小学生ではなんと上位合格者に。 そんな孫に負けられないとばかりに、今年古希を迎えたおじい様の國男さん(70歳)も大奮闘、見事2級に合格されました。 まさにととけん一家となった曽我部家の皆さまに、昨年にひき続きお話を伺ってみました。 ─今回は昨年のリベンジをかけて、ととけん受検へ臨まれたようですが。 お父様:当初は気楽な気持ちで楽しんでいただけのととけんでしたが、去年1級で合格基準に10点以上届かない惨敗を喫した結果、どうしても受かりたくなりました。 息子さん:2回連続不合格にならないよう、ゼロからやり直す気持ちで勉強しました。 おじい様:昨年2級合格に3点不足だったので今年は絶対という決意で3か月前から準備しました。孫と競い合ったのが好結果につながりました。1点差で私の勝ち! ─実際に受検してみての率直な感想は? お父様:あれだけ勉強したにもかかわらず、全く見聞きしていない問題が多数出て来ました。楽しめていた去年までと違い本気モードだったので、試験中すでに「参った、また来年か」という気持ちにもなりました。ギリギリでしたが合格して本当に嬉しかったです。 息子さん:がんばれば小学生の僕にもできるんだな、と思いました。 おじい様:問題を精読するだけでも相当の時間を要するのに、難問の連続。回答用紙の文字が少し小さかったことも重なり、私のような老人には時間不足が大打撃。半分の30分経過した時点で100問中まだ46問しか進んでいなかった時は本当に焦りました。でもこの歳で若者に混じって受験という行動は、ドキドキ、ハラハラではありましたが、この緊張感が何とも言えない晴れやかさをもたらしてくれました。 ─それぞれに印象に残った問題は? お父様:熊本城の壁の内部の篭城用食料として詰め込まれていた海藻は?という問題。くまモンが受検するというし、熊本は実際に行ったこともあり親近感があったので徹底マークしていたのですが、まさか城壁の海藻の種類を問われるとは。 息子さん:仙崎イカ、あしやんいか、壱岐剣など西日本で珍重されるイカは?という問題。九州・中国地方の日本海側のどの県にも出て来たので、一生懸命勉強したイカです。食べたことはないんですが。 おじい様:全国各地で水揚げされる魚介でブランド化の先駆けとなった二大産地は瀬戸内海と三陸。その魚介は?という設問。どうしても大震災の被災地や人々のことを思うと、正答よりも今はどうなっているのだろうと考えざるを得ませんでした。 ─親子三代そろっての合格はまさに鑑(かがみ)、秘伝の勉強法があるのでは? お父様:2級までは、自分の興味が向くままに知識を増やしていれば大丈夫でしたが、1級はそれでは歯が立たなかったため、日頃から常に魚に関するアンテナを張り、意識するところから勉強をしました。また、今まで日本海側を訪れたことがなく、どうしても興味が薄くなりがちだったので、2月に金沢へ家族旅行を決行。のどぐろや能登の寒鰤、香箱ガニ、そして「いしる」を肌で体感してきました。 息子さん:時間がある時に、テキストから大事なところや混乱しているところを書き出し、ノートを作りました。ちょっとした時に、それを読み返すことで、記憶に留められるようにしました。 おじい様:いとも単純。ノートに魚名と県名を列記し必要な事項をメモのようにして書き込んでいきました。補足としてA4サイズの県別になった日本白地図を3枚用意し、ガイドブックや魚にまつわる情報、過去の出題の分析を。 一枚目には魚介類と魚名、二枚目には料理名、三枚目にはお祭りやイベントと重要な事項をそれぞれカラーペンで書き込み覚えました。 その他魚や料理にまつわる新聞記事やテレビ番組を切り抜いたりメモしたりしました。 検定前日には孫と2人だけの合宿をして問題の出し合いをし、お互いの弱点を補いあいました。これが最後の数点アップにつながったようです。 ─受検後なにか変化したことがありますか? お父様:もう勉強する必要がないはずが、興味はますます増しています。この秋には魚屋さんに、今まで見かけなかった北海道産の鰤が沢山並ぶのを見て、なぜだろうと調べてしまったりします。魚で感じる季節や地域性にとても敏感になったと思います。 息子さん:2級の問題は、普段の生活とはちょっと離れているものが多かったのですが、2級を受けたことで3級の知識が確実になり、ごく当たり前のことになった感じがします。 おじい様:レストランやホテルの食材偽装やメニューの偽装表示(誤表示?)が社会的に大問題になってから、友人、知人らから魚介類、特にエビに関する質問が多数あがりました。それらに自慢げに答えることができますのは、ととけんの学習が大いに役立ったからではないかと思います。 またテレビのコメンテーターがとんでもない怪しげな解説をしたりしていたのを見て、「少しお魚の勉強をしたら」と心で叫んだりしています。テレビ番組は以前より増して魚料理、魚釣り、海景色等を好んで見るようになりました。 ─ととけんへの要望をビシバシと お父様:次のステージを考えていただけたらな、と思います。それが段なのか、何かのイベントなのかはわかりませんが。また、1級の名刺は増刷できるようにしていただけると嬉しいです。この分だと来年にはもう手持ちのものがなくなってしまうので。 息子さん:2級をとりましたが、まだまだ知らないことだらけなので、大人の皆さん、魚のことをどんどん教えてください。 おじい様:世代を越えて受検できるのがととけんの魅力ですが、お年寄りには問題の正誤以前にマークシートの記入欄の小ささがネックになる気がします。ユニバーサルデザイン的な検定を、ととけんから是非。 また、ネット上でも結構ですから2級合格者の交流広場を創ってほしいですね。 ととけん川柳とかがあったら、さらに仲間が広がると思いますし。 ─今後の受検者へのメッセージをお願いします。 お父様:とるだけの資格、ではなく、とるまでが、そしてとった後までも楽しめる検定がととけんです。合格者が増えて「私もととけんもってます」というところから知り合うシーンに出くわせたら嬉しいですね。 息子さん:ととけんの名刺に好きな魚は“今治のキビレ”と書きましたが、今年最高の瞬間はビッグサイズのホゴ(カサゴ)を釣り上げたこと!!リアル体験をするとますます勉強がおもしろくなるよ! おじい様:店頭で魚と出会ったら話しかけてあげてください。そして天然であっても養殖であっても「名前は?どこから来たの、北海道いや九州、それとも外国かな?」などと。すると彼らの目が「名前ぐらいは覚えてね、そして上手に料理しておいしく食べてね・・・」と応えてくれるように感じます。 見ても食べても魚が好き“一魚一会”、これが合格への原点だと思います。 ─お父様への質問です。1級ホルダーとしてのこれからは? お父様:公私問わず様々なシーンで、ととけんの名刺を差し出すや否や話が盛り上がり、本題が何かを忘れ「今度勉強しませんか、面白いですよ」と、まるでととけんの関係者や専門家にでもなったかのようにお誘いしてしまうこともあり、その調子の良さを反省することもしばしばです。とはいえ、魚食を愛する1人として認めていただいたわけですから、日本古来の豊かな魚文化を細々と伝えていく一伝導師ではあり続けたいな、ととけん1級を一生名乗りたいな、と思っています。 ─最後にシェフというお仕事上、プロの立場からひとこと。 お父様:いい加減な食品表示はしたくないと思っていても、きちんとした知識がないとできません。特に魚介類は、生物学的な名前と市場や業界での通称は異なりますし、加えて地域地域での文化的な名称も存在し、大変ややこしくなっています。さらには外国からの輸入物では、明確な基準がないまま名前が付けられてしまっているものもあり、飲食業ではその都度どう表記するかの判断が求められます。 例えば、「シーバス」というフィッシングの観点からつけられている名前は、日本では当然のごとく鱸を指しますが、アメリカではハタの仲間を呼ぶようです。それをさらにブラックコッド、と称する場合もあること、そして日本の料理名は調理人の感覚で決まる側面も強いこと、などから、1匹のハタ科の魚を前にして、「鱸」「シーバス」「鱈」「銀ダラ」など色んな名称が入り交じる事態が起こりえます。 ととけん受検を通じ、魚の料理名としてふさわしいのは何かの課題全てがきれいに解決したわけではありませんが、慣習や憶測に依るのではなく、確かな根拠を探りながら取り組むことができるようになったのは大きな収穫です。 |