小寒
底魚の宝
えら:アンコウはエラも食べられる。弾力ある食感が楽しめる。
きも:肝臓の‘あん肝'は、酒肴としても絶大な人気を誇る。海のフォアグラともいわれ珍重される。肝の大きさでアンコウの価格が決まるほど。
胃袋(水袋):モツのような食感。湯通しして酢味噌で食べてもおいしい。
卵巣(ヌノ):これを鍋に入れると、体が温まるといわれる。ポン酢で食しても美味。
柳肉:身の部分。白身で淡泊。から揚げにしてもおいしい。
この七つ道具をすべて使うのが、あんこう鍋。
大きくわけると、しょうゆ仕立ての東京風。そして、本場、常磐では肝を溶かし込んだみそ仕立ての鍋となる。各部位をそのまま鍋にしてしまうと臭みがあるので、ぜひ湯通ししたい。下ごしらえは、ほぼそれだけで完了する。
「東のあんこう 西のふぐ」とは東西の鍋の両横綱を並び称した言葉だが、近年のアンコウ水揚量日本一は、なんとフグの本場、下関である。
萩市の見島沖から対馬海峡にかけての日本海で漁獲されるアンコウは、沖合底びき網漁の基地、下関に水揚げされる。主に関西圏に出荷されているが、下関ではフグほどにはアンコウを食べる習慣がない。
そこで、10月から2月に獲れた重さ2キロ以上のものを‘下関漁港あんこう'としてブランド化をめざしている。
下関のあんこう鍋は―といえば赤みそと白みそをブレンドして溶いただし汁に肝でコクを加えている。身や皮などを地元産の野菜やエビなどと煮込み、まろやかながら比較的あっさり仕上げた鍋だ。
ところで、腹が突き出ている超肥満型の関取を「あんこ型」というが、これは決して鯛焼きに詰める‘あんこ'のことではなく、姿かたちが魚のアンコウに似ているからで、言葉がつまって「アンコ型」となったそうだ。
②~④いずれも冬場に旬を迎える。②カワハギはアンコウと同様、肝が尊ばれ、その大きさが値段を決める。白身はフグに似たシコッとした身質をもち、甘みがあり旨みがあるのが特徴。
肝じょうゆで食べるといっそうその美味しさがひきたつ。③フグ。アンコウと並び称される冬の味覚。④マダラ。フグ同様、白子が珍重される。ちり鍋が定番。