• 立秋
    夏フグの異名をとる怪魚、登場

    昨今は不漁のニュースで話題のこのいかは、北海道から九州まで広く生息しています。国内でとれるいかのうち、およそ8割を占め、刺身、寿司だね、天ぷら、フライ、煮物などあらゆるメニューになるこのいかを選びなさい。

    ①アオリイカ ②ケンサキイカ ③スルメイカ ④ヤリイカ

    ▼解答と解説コラム▼
    【解答】③スルメイカ
    【解説】
    日本で食用とされるイカは大きく4種類に分けれられる。
    アオリイカ、ケンサキイカ、ヤリイカなどが属するヤリイカ科、江戸前ではスミイカと呼ばれるコウイカ種にホタルイカの種類(ホタルイカモドキ科)、そして国内でとれるいかのうち、漁獲量がいちばん多いスルメイカである。

    そのスルメイカに近年異変がおこっている。水揚量の減少がここ数年続き、とくに昨年は記録的な不漁となった。原因は、スルメイカの産卵海域の海洋環境の変化による資源量の減少といわれる。

    日本近海のスルメイカの大きな群れとしては冬生まれ群、秋生まれ群、夏生まれ群の3群があり、漁業対象は冬生まれ群と秋生まれ群が主体となる。

    このうち冬生まれ群は、12~3月に九州南西岸から東シナ海の海に生まれると、太平洋の黒潮と日本海の対馬海流にのり、成長しながら北の海をめざす。

    春の連休を過ぎると、手のひらサイズの「麦いか」―麦刈りの時期にあたるのでこう呼ばれる―がその途上で漁獲され市場に入荷。5~8月には北海道沖に回遊してくる。

    多くのスルメイカ漁は夜間に行われ、集魚灯を灯し、明かりに集まってくるイカの習性を利用して釣り上げる。各地で旅情をかきたてる漁火(いさりび)はこの夜イカ漁の集魚灯が多い。

    身を薄く二枚に切り、さらに細く切った函館名物「いかそうめん」はスルメイカが絶品だ。

    産地以外で生ではやや薄い旨みも、熱を通すとがぜん濃厚に感じられ、皮目の風味が強く立つ。加熱調理した方がおいしくなるイカなのだ。

    暑い季節には、もち米を身に詰めて甘辛く煮たいかめしで食感を楽しんだり、リング揚げや、イカと里芋、じゃがいもの煮物など、食欲をそそるおかずにしたい。

    ところで、漁獲量が多く例年だと一杯200円程度のスルメイカは市場においては肩身が狭い。というのもアオリイカやシロイカ(ケンサキイカ)など料理人の目がいくのは高級いか。でもセレブなイカがかなわないすごい秘密兵器を内蔵している。

    スルメイカの足を、だましだまし微妙な力加減で引き抜くと、内臓もスルリとついてくる。そこには茶がかったつやつやとはちきれんばかりの大きなワタ(肝)。見るからに栄養がありそうだ。

    利用法としては、塩辛が有名だが、時間をかけて発酵させるとか、そんな手間は抜きにしておいしい。トロリつぶせば、すばらしいソースになり、イカ刺しのソースにする手も。身と同様、ワタは加熱しても美味だ。
    ゲソもエンペラ(ひれ)も、身のすべてを炒め、そこにワタをからませたら、もはや調味料なぞ出る幕なしで、複雑微妙な味加減になる。

    イカ類は鮮度の見分け方がやさしく、生きているときには透明に近く、水から揚げられると茶褐色になり、鮮度が落ちてくると白っぽくなる。